生殖細胞グループ

生殖細胞は次世代へと遺伝情報を伝達し得る唯一の細胞種であり、この点において他の体細胞系譜とは一線を画しております。この特性から、生殖細胞の発生・分化は子孫における個体差や疾患、さらには種の保存や進化において極めて重要な機構であるといえます。

しかしながら、生殖細胞研究はその技術的・倫理的困難から、他の細胞系譜と比較しても非常に出遅れております。特に、ヒトを含む霊長類においてはほぼ未解明であると言っても過言ではありません。

そこで、私達のグループでは、細胞培養系を駆使しつつ、

    ①生殖細胞の発生・分化・進化の理解
    ②生殖工学的ツールとしての生殖細胞の利用

を目指して研究を行っております。

① 生殖細胞の発生・分化・進化の理解

生殖細胞を規定する分子特性を把握する為、げっ歯類から非ヒト霊長類、そしてヒトにおける遺伝子発現やエピジェネティック状態の解析を行っております。また、個別の哺乳動物種から得られた知見を相互に照らし合わせることで、生殖細胞制御の進化系統学的な統合的理解も試みております。これらの知見は、②の研究基盤としてフィードフォワードしていくと同時に、生殖細胞の観点から「ヒトへの進化」を理解する為の新たな糸口が見つかることを期待しております。

② 生殖工学的ツールとしての生殖細胞の利用

生殖幹(GS)細胞は、ES細胞に代わる遺伝子組換えツールとして有効であることが示されております。そこで、マーモセットのGS細胞を樹立し、ヒト疾患モデルとしての遺伝子改変マーモセットの作出に役立てたいと考えております。また、私達は国内で最初に「ヒトiPS細胞を用いた生殖細胞作製に関する基礎的研究」を承認されたグループでもあります。本研究は、ヒト不妊症の病態解析やヒトiPS細胞の多能性評価においてに有用であると考えられます。マウスES/iPS細胞を用いて開発してきた独自の生殖細胞分化誘導法を活用しつつ、ヒト生殖細胞の効率的な分化誘導法の同定を目指しております。

私達は非常に若いグループではありますが、柔軟性と機動力を最大限に生かし、斬新なアプローチによる新しい研究を展開していきたいと考えております。