ショウジョウバエグループ

ショウジョウバエチームでは、キイロショウジョウバエ (Drosophila melanogaster) を用いて、進化的に保存された現象について生体レベルで解析を行っています。
ショウジョウバエは以下のような特徴からモデル動物として広く研究に用いられており、ときに「羽の生えたヒト」とさえ形容されます。

モデル動物としてのショウジョウバエの特徴

  • 世代間隔が約2週間と非常に短い
  • ゲノム配列が既に分かっている
  • 遺伝子組み換え動物の作出や系統操作の技術が洗練されている
  • 遺伝子やシグナル伝達経路が進化的に保存されている
  • 飼育が安価であり、また、場所をとらない

私たちはショウジョウバエを用いて、主に4つのテーマについて研究を行っています。

1. 中枢神経系の発生

 ショウジョウバエの postembryonic neuroblast (pNb) の発生過程を、哺乳類の神経幹細胞発生のモデル系として、神経上皮細胞から pNb、さらには神経細胞への分化機構に関わるシグナル分子について解析を行っています。

 

2. 血液脳関門

 ショウジョウバエの脳は複数のグリア層に覆われています。その中の特定のグリアが担う物理的・化学的バリア機構によって体液中の小分子の脳への流入・拡散が制御されています。このバリア機構に関与する分子やシグナル伝達経路を解明する事で、ヒトの血液脳関門の分子機構の解明に貢献したいと考えています。
 

3. タンパク質の翻訳後修飾

 ほとんどの分泌または細胞膜蛋白質は、糖鎖などの翻訳後修飾を受けることによって正しい機能を発揮します。そのような翻訳後修飾のメカニズムと機能を、ショウジョウバエをモデル系に用いて解析しています。
図の説明:ショウジョウバエのゴルジ体をシス(青)、メディアル(赤)、トランス(緑)槽のマーカーで染め出したもの。
 

4. musashi (msi) の解析

 msi は、当研究室教授である岡野がジョンス・ホプキンス大学留学時にショウジョウバエを用いて神経系の異常に関係する遺伝子をスクリーニングする過程で得られた遺伝子です。変異体の感覚剛毛(体表の毛)が「二刀流」になることから、遺伝子名もムサシと名付けられました。
 msi は RNA 結合蛋白質をコードしており、中村らとの共同研究や当研究室での解析から、神経前駆細胞の運命決定を担う重要な遺伝子である事が分かりました(Nakamura et al. Neuron. 1994, Okabe et al. Nature 2001)。msi 変異体では神経前駆細胞が非対称に分裂できなくなります。当研究室や世界中の研究室の解析から、哺乳類 musashi 遺伝子も神経発生に重要な役割を担っている事が報告されました。
 私たちは msi が制御する神経前駆細胞の運命決定機構の解析を行っています。

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